不動産価格をAIが判定するサービスが増えてきている。これまで不動産価格の算出は、主に比較法という手法を用いて、不動産の営業担当者が行ってきた。しかし様々な業界でITやAIを用いたサービスが盛んになる中、メールや電話、自宅の訪問などのやりとり無しで、ウェブサイト上で素早く、自宅の不動産価格を知りたいというユーザーが増えた。それに応えるサービスの一つと言える。
仕組みとしては、一般的なAIと同じく、大量の過去の取引データ(成約物件)をAIが学習し、ユーザーから入力された査定物件の所在地や広さ、築年数などの情報を元に算出される。しかし、そこで課題になるのが、価格の精度。不動産は、一般的な商品とは異なり、まったく同じものが、一つとして無い。とくに一戸建てと土地については、所在地や広さなどの条件以外に、周囲の建物の状況や敷地と道路との高低差、古家の有無、古家の構造の違いなど個別要素が多い。取引データと査定物件の類似性が低いことが多く、AIにとって難易度が高く、現時点では、一戸建てや土地の売却の際は、不動産会社に人による査定を依頼した方が無難と言える。ただ。今後は、Googleマップのストリートビューや現地写真から個別の条件を勘案し、より精度の高い査定価格を算出するサービスが出現する可能性もあり、発展が楽しみである分野の一つであることは間違い無い。
流れ
まだまだ進化途中の日本の不動産テック
不動産を一般消費者が買うとき、その判断のために得られる情報が、アメリカなどに比べ日本は少ない。と言われて久しい。近年、不動産テックを活用したスタートアップ企業も出てきましたが、それでも2020年現在もその状況はさほど変わっていません。不動産の適正価格を知るための価格指標。自分たち家族にマッチする物件を客観的に判断するための情報。ひと目で理解できる災害リスク・地域性・犯罪発生率。など…。これらの情報が、手間をかけず入手できれば、家探しがスムーズで、住んでからの満足度も高まるはずです。ただ一部で新しい動きも出ています。例えば、ライフルが運営するホームズでは、ライフスタイルに合った街を見つける「まちむすび」。マンションの参考価格がひと目でわかる「プライスマップ」。リブセンスが運営する「イエシル」では、マンションの部屋ごとの相場価格がわかる「リアルタイム査定」。ウィルが運営する不動産検索サイトでは、物件ごとに適正価格がわかる「バリューメーター」など。しかしまだ情報の精度や深度には改良の余地があり、一般消費者の認知度も低いのが現状です。今後、一般消費者が、自分たち家族の背景や望むライフスタイルを入力またはスマホなどに話しかけるだけで、条件の合う物件や街、またそれに付随するリスク。近い未来の予測などを返しくれる。それにより安心、安価で不動産の売買が行え、ライフスタイルの変化に合わせて住まいも気軽に変えることが出来る。そんな世界を作ってくれることを期待したい。
ワンストップサービスの流れ
しかし、近年、売買・賃貸の仲介を中心として、ワンストップサービスのビジネスモデルを展開する不動産会社が増えてきました。
マンションや戸建ての開発分譲、受託販売も行っており、リフォームにおいては、デザインから設計・施工まですべて一貫して自社で行うという新たなタイプの不動産会社です。
これによって、顧客は窓口一つでほぼ全ての選択肢の中から、理想の住まいを効率的に探すことができるようになりました。
また、専属のフィナンシャルプランナーが組み込まれたワンストップサービスであれば、無料で住宅ローン相談や銀行との金利優遇交渉、各種保険見直しをしたり、購入とリフォームをセットで行う段取りを取ることでリフォームローンを長期間低金利で組めたり、コスト面でも多くのメリットを享受することもできます。
もちろん、契約から入居までのフォローアップ(ローン手続き、不動産手続きなどの各種手配、損害保険契約から引越し・インテリア業者などの紹介など)まできっちり行ってくれます。
さらに、お住まいになってからも、例えば、中古住宅の購入であっても無料のアフターメンテナンス(簡単に言うとキャリアのある元大工の無料補修サービス)が利用できる、という顧客にとって非常に嬉しいサービスを受けられるケースが増えてきました。
不動産会社側からすれば、すべての顧客ニーズに対応することにより、営業機会のロスが少なく、成約率が高くなる他、事業間のシナジー効果で、顧客単価が高くなるというメリットがあり、ウィンウィンの関係が構築できるのです。